1: 2023/11/09(木) 18:10:15.95 0
けんすう:僕は以前、匿名掲示板を運営していたんですが、名前などの個人情報はわからなくても、同じ人が書いているかどうかは、管理者にはわかってしまうんです。
そこでわかったのが、「熱狂的なアンチ」の人って、突然「熱狂的なファン」に変わる率がすごく高いということ。
もう「何があったの?」っていうくらい変わります。逆に熱狂的なファンが、ささいなことで裏切られたと感じてアンチに変わることもありますが。
つんく♂:アンチもファンも、掲示板に書き込むくらいの熱量をもって注目しているってことですよね。
けんすう:つんく♂さんは悪口とか、僕の比じゃないくらいあると思うんですけど……。
つんく♂:モーニング娘。のメンバーを増やすときは、めちゃくちゃ怖かったです。いまでこそ増えようが減ろうが「はいはい」って感じだけど。
それまでのアイドルって、それこそキャンディーズのように「メンバーが変わるくらいなら、解散して普通の女の子に戻ります」というのが美学であり、世間の正義もそこにあった。
だから、メンバーを増やすときの世間からの攻撃は半端なかったです。正直、あれは本当に怖かった……。
けんすう:リアルタイムで見ていた僕も「え? 増えるの?」って思いましたから(笑)。
いまでは当たり前になりましたが、当時は画期的でしたよね。ファン目線ではさぞかしショックだったでしょう。
つんく♂:もちろん、決定は僕だけじゃなく、レコード会社やプロダクションという背景や大人の事情もあるわけですが、それが見えない時代だったし、見せていませんでしたから。
そうなれば、批判の的はすべてつんく♂になる。
当時もネットの書き込みもちらほらと見ていたけど、あまりの炎上ぶりに、「あ、無理」ってなって、あるときPCをパタンと閉じて、しばらく見るのをやめました。
けんすう:古い話になりますが、当時は2ちゃんねるに、モーニング娘。の(羊)板と(狼)板と、2つ板があったんですよね。
固有名詞で掲示板の板がつくられるのも異例なのに、羊と狼で雰囲気を変えないとまとまらないほどの熱狂でした。
アイドルグループについて、ファンが真剣に議論するって、新しい文化だったし、やっぱりレジェンドだと思います。
つんく♂:たしかに、ファンがあそこまで議論してくれるアイドルは初めてだったかもしれません。
しかも、当時はガラケーメインで、PCでインターネットをしている人のほうが少数派だった時代じゃないかな?
けんすう:2000年頃はそうでしたね。でも、当時PCを触るような知的好奇心の高い人たちがアイドルについて真剣に議論していたわけで、つんく♂さんはそういう時代をつくった人なんですよ。
つんく♂:たしかに、当時は「日本の掲示板とネット環境はモーニング娘。が育てた!」くらいに思っていたもんな(笑)。
でも、いまはAKB48はじめいろいろなグループが出てきてくれたおかげで、「悪口のベクトル」が変わったんです。
以前は「つんく♂ VS.モーニング娘。(のファン)」の構図で、つんく♂とメンバー+ファンの戦いみたいな感じだったけど、
だんだん「ハロー!プロジェクト VS. AKBグループ」みたいな構図になって、僕が矢面に立つことも減りました。
同時に、ファンも「批判する目線」から「みんなで頑張ろう」みたいな盛り上がりに変わっていったわけです。
けんすう:なるほど、「相対的なライバル」が出てきたことで、「ファンの目線」も変わったわけですね。それって、5期とか6期あたりの話ですか?
つんく♂:もう少しあと、7期以降かなあ。あの辺りが一番の転換期だったかもしれないですね。
https://toyokeizai.net/articles/-/710595
続きを読む