「漠然とした不安」には理由があった!体内で起きている3つのこと

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日々の生活のなかで、理由のない漠然とした不安を抱えていませんか?

じつは、その不安には、きちんとした原因があります。


今回は、漠然とした不安の原因や、和らげる方法について、あんしん漢方薬剤師の山形ゆかりさんに解説いただきます。

漠然とした不安に悩んでいる…

悩む女性
出典:Unsplash


漠然とした不安は、環境要因によって引き起こされることが多く、ストレスが大きな原因とされています。

たとえば、新生活での人間環境の変化や、自身の立場が変化などでプレッシャーを感じると、それがストレスとなり、からだにさまざまな影響を与えることがあります。

さらに、寝不足や不規則な生活などの生活習慣の乱れ、栄養不足や血糖値の変動などが自律神経に影響し、それがバランスを崩すことで、不安感が生じることも。

また、もともとの性格や、遺伝的要因も、不安の感じやすさに大きく関係しています。


そして、「社交不安障害(SAD)」という病気が原因となっている場合もあります。

これは不安障害の一種で、他人とのコミュニケーションや、人前での行動を避ける傾向がある病気です。


不安や恐怖のほかに、発汗や手の震え、動悸などの身体的症状があらわれることもあります。

漠然とした不安を感じるとき体内で起きている3つのこと

脳
出典:Pixabay


不安を感じているとき、からだの中では主に以下の3つのことが起きています。

それぞれをくわしく見ていきましょう。

交感神経が優位に

不安感は、自律神経のバランス、とくに交感神経が優位になることで強まる特徴があります。

自律神経とは、呼吸や血圧など生命活動に関わる重要な働きを自律的にコントロールしている神経で、「交感神経」と「副交感神経」の2つから成り立っています。

交感神経が優位になるとからだは活動的になり、一方で副交感神経が優位になるとリラックス状態に。

通常はこの2つがバランスを保ちつつ働いていますが、どちらかが優位になりすぎると、自律神経のバランスが崩れ、心身に不調があらわれます。

たとえば、交感神経が過剰に優位になると、常に緊張や興奮状態となり、不安感の増加や、集中力の低下、不眠などを招くことがあります。

脳からのアラート

不安やストレスと深く関わる脳の部位に、「扁桃体(へんとうたい)」があります。

扁桃体は感情や記憶プロセスなどに関与し、さらに不安や恐怖にも大きく関係しているのです。


扁桃体は、からだの外部からの刺激が安全か危険かを即座に判断し、脅威を感じた際には、活性化して反応を引き起こします。

つまり、漠然とした不安を感じているときは、扁桃体が過剰に働いている状態といえるでしょう。


また、ある研究では、慢性的なストレスにより扁桃体の神経回路がより反応しやすくなることも示唆されています。

ストレスホルモンが全身へ

人が不安を感じているとき、体内ではストレスホルモンが分泌されます。

その代表が、腎臓の上部にある副腎から分泌される「コルチゾール」です。


コルチゾールは本来、ストレスから身を守るためのホルモンですが、ストレスが長期的に続くことで慢性的に分泌されるようになると、かえって心身に悪影響を及ぼします。


中枢神経系、免疫系、代謝系など全身に影響が及び、からだのバランスが少しずつ乱れていき、メンタル不調や、不眠症などにつながることもあります。

不安を和らげる方法2選

メモ
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ここからは、今日からすぐに始められる、不安を和らげるための2つの方法をご紹介します。

深呼吸をする

深呼吸は、不安や緊張を和らげ、自律神経の働きを整えて心を落ち着かせる効果があります。

深く息を吸い、吐くことで呼吸を落ち着かせ、心をリラックスさせましょう。


正しい深呼吸のやり方は以下の通りです。

椅子に座りながら、仰向けで寝ながら、そして起立した状態でも行えます。
  • 背筋を伸ばし、おなかに手を当てる。
  • 3秒くらいかけて、息を鼻からゆっくりと吸いこむ
  • 同じように3秒くらいかけて息を口からゆっくりと吐く
  • (1)~(3)を5~10分ほど繰り返す


深呼吸をする際は、おなかをしっかりと膨らませ、「腹式呼吸」を意識しましょう。

呼吸のリズムを一定に保ちつつ、焦らず続けることが大切です。


深呼吸は、ストレスや緊張を感じたとき行うのもおすすめです。

ノートに書き出す

不安や心の中のモヤモヤは、頭の中で考えるだけではなく、ノートに書き出すことで整理しやすくなります。


ノートに書く際のポイントは、悩みを「内的要因」「外的要因」に分類することです。

自分次第で変えられる内的要因と、自分では変えにくい外的要因に分けてみましょう。

たとえば、行動や考え方は内的要因、他人の言動は外的要因です。


外的要因を変えることは難しくても、内的要因は自分の考え方や気の持ちようで変えられることも多いでしょう。


この手法は「ジャーナリング」とも呼ばれ、「書く瞑想」としてメンタルケアのひとつといわれています。


心の中で思っていることを書きだすことで、自分自身に客観的に向き合うことができ、気持ちを整理しやすくなります。

漠然とした不安には漢方薬もおすすめ

生薬
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漠然とした不安感には漢方薬の使用もおすすめ。

漢方薬は、からだと心のバランスを整えるのに最適です。


漢方薬は、体質を変えることで慢性的な不調にアプローチする特徴があるので、漠然とした不安のような、原因を突き止めにくい悩みにもおすすめです。


漢方薬は、自然由来の生薬をもとにしていて、一般的に西洋薬よりも副作用のリスクが低いといわれています。

また、毎日飲むだけで済むので、気軽にとり入れやすい点もメリットです。


漢方薬で不安感に対処する場合、
「気分の落ち込みを緩和する」
「精神の興奮を鎮める」
「血流をよくして、自律神経の乱れを整える」
「消化・吸収機能を改善して、からだの内側から心を元気にする」
といった漢方薬を選びましょう。

<不安感におすすめの漢方薬>

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

自律神経を整え、精神を安定させます。不安や不眠、抑うつなどを改善します。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

ストレスなどによってできたのどの違和感を取り去ることで、精神の緊張を和らげます。精神不安、不眠、神経性胃炎などを改善します。


ただし、漢方薬は、体質との相性が重要です。

からだと合っていない漢方薬を使い続けても、本来期待する効果は得られないどころか、副作用が起こる場合もあります。


漢方薬を使用する際は、漢方に精通した医師や薬剤師にご自身のからだに適した漢方薬を提案してもらいましょう。


最近は、あんしん漢方というオンライン型の漢方薬サービスも人気を集めています。

あんしん漢方は、体質診断、漢方薬の提案、そしてアフターフォローもすべてネット完結します。

場所を選ばずスキマ時間に利用でき、通院する時間がない方や、感染症対策が気になる方にもおすすめです。

ストレスや不規則な生活を見直し、不安感をとり除く

漠然とした不安は、新生活の環境変化によるストレスや、不規則な生活習慣が原因で自律神経が乱れることで引き起こされます。


深呼吸やノートへの書き出しといったシンプルな方法でも、不安を軽減するきっかけになります。

些細なことを深刻に捉えすぎず、おおらかな気持ちで過ごすことも大切です。

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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