「ストレス痩せ」「ストレス太り」の違いはどこにあるのだろう、と気になったことはありませんか?
今回は、ストレスによってからだに起きる変化の違いがどこから生まれるのか、そして乱れた食欲を整えるためのセルフケアについて、あんしん漢方薬剤師の山形ゆかりさんに解説いただきます。
同じストレスなのに、体重の変化は正反対
大きなプレッシャーを抱えると、食事がのどを通らなくなる経験は誰にでもあるかもしれません。
一方、対人関係などで悩んだ結果、揚げものやチョコレートといった高カロリーのものを無性に欲するタイプの人もいます。
どちらも「ストレスを感じている」という状態は同じですが、食欲に対する変化は真逆に作用しているのが特徴です。
これは単なる「性格」や「我慢強さ」が原因というわけではなく、からだの内部で起きているメカニズムの違いによるものです。
まずはそのしくみを知ることが、体重変化に惑わされないための第一歩になるでしょう。
痩せる?太る?ストレスで食欲が変わるしくみ
人がストレスを感じたとき、からだの中では主に「自律神経」と「ホルモン」という2つの働きが関係してきます。
まず自律神経の交感神経が優位になると、心拍数や血圧が上がり、からだ全体が緊張状態になります。
その結果、胃腸の消化活動が後回しにされてしまうため、食欲が落ちてしまうのです。
一方、避けられないストレスが長く続いた場合は、視床下部から信号が伝わり、副腎皮質から分泌される「コルチゾール」の作用が過剰に働きやすくなります。
コルチゾール自体はからだを守る大切な役割を担っていますが、同時に食欲を高める作用も持ち合わせており、とくに甘いものや脂肪分の多い食品への欲求を刺激します。
このように、交感神経が優位になり「食欲が低下する」ケースと、コルチゾールの働きによって「食欲が増加する」ケースの2つがあるのです。
どちらの傾向が強く出るかは体質や生活習慣によって差があるため、一概に「太りやすい」「痩せやすい」と分類できない部分もあります。
明日からできる。食欲の波を整える小さな習慣3選
続いては、ストレスによる体重変化を整える「小さな習慣」を3つご紹介します。
特別な準備や道具は必要ないので、今日から実践できますよ。
食欲がない日は「食べられるもの」から始める
「1日3食」を厳守しようとするあまり、それが逆にプレッシャーとなって不健康の原因になる場合があります。食欲がない日は柔軟に対応し、まずはスープや果物など、比較的口にしやすいものを選ぶことが大切です。
からだが受けつけるようなら徐々に量を増やしていくことで、胃腸に無駄な負担をかけることなく食事のバランスも維持できます。
無理に固形物を食べなくても、ゼリーやヨーグルトのような飲み込みやすいものでも構いません。
「今日はこれなら食べられた」と自分を認めてあげる感覚を持つだけでも、食事に対するプレッシャーから解放される理由になります。
食べすぎた翌日も、食事を抜かない
「いつもより食べすぎた」という自覚がある場合でも、翌日の食事を極端に減らすことはかえって食生活の乱れにつながります。食事を抜いてしまうと空腹感が強くなり、その反動でさらなる過食を招きやすくなるからです。
「昼食を抜く」といった極端な調整をするのではなく、食事の回数は減らさずにボリュームだけを少し減らすなど、緩やかにいつものリズムへ戻すことを意識しましょう。
主食の量を一時的に控えめにしたり、揚げものを焼きものや蒸しものに置き換えたりと、食事内容で調整する考え方を持つと続けやすいでしょう。
「翌日にすぐリセットする」と気負う必要はありません。
数日から1週間単位で緩やかに戻す意識を持つことで、罪悪感や過食を防ぎやすくなります。
食欲と気分を「ひと言メモ」で見える化
そのときの気分をあえてメモして言語化することで、食事が乱れやすいタイミングや、ストレスとの関係性を可視化することができます。たとえば、「おなかが空いた」「イライラする」「疲れた」など、本当にひと言程度でも構いません。
後からそのときの状況を振り返ることで、自分の食事が乱れるパターンを見つけ出し、客観的に対策を練ることができます。
記録する方法は、紙のメモや、スマートフォンのメモアプリなど、どんな形でも構いません。
手間のかからない方法でいいので、まずは3日間続けることを目標にしてみましょう。
見返したときに、「忙しい週の後半に食事量が増えている」など、普段気づかなかった自分の食事の特徴が見えてきます。
そこから、事前の食事量を調整したり休息を増やしたりと、適切な予防策が立てやすくなります。
ストレスに振り回されにくい体質を目指す漢方ケア
これまでご紹介した小さな習慣は、日々の行動を少し工夫することで対処する方法です。
もし、こうしたセルフケアだけで解決の糸口が見えない場合は、「漢方薬」という選択肢もおすすめです。
漢方には、乱れたバランスを整えることで不調の根本的な解決を目指すという基本理念があります。
体質そのものを改善していくアプローチなので、不調の原因からじっくりと整えていくことが可能です。
また、漢方薬は植物や鉱物を原料とした自然由来の生薬で構成されており、一般的に西洋薬よりも副作用のリスクが低いといわれている部分もメリットといえます。
毎日決められた量を飲むだけで済むため、生活スタイルを大きく変えることなく、習慣化しやすいのも魅力です。
ストレスに対処する場合、
「自律神経やホルモンバランスの乱れを整える」
「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」
「心を安定させ、気分の落ち込みやイライラを改善する」
といった作用を期待できる生薬を含んだ漢方薬を使用しましょう。
<ストレス対策におすすめの漢方薬>
加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや精神不安がみられる人に用いられます。エネルギーの流れを整え、気分の落ち込みやイラ立ちなどの神経症状に働きかけます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
からだを巡っているエネルギーの流れを改善し、こもった熱を冷まします。ストレスや精神の安定に用いられます。
ただし、漢方薬は自分の体質に適したものを使うことが大前提です。
体質に合っていないと期待した効果を得られないだけではなく、副作用が起こる場合もあります。
必ず漢方に精通した医師や薬剤師に相談のうえ、正しく使用しましょう。
「いちいち通院する時間がない」「感染症リスクが心配」という人には、最近人気を博しているオンライン漢方薬サービスの「あんしん漢方」がおすすめ。
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ストレスに左右されないからだ作り
同じストレスが原因でも、痩せる人と太る人に分かれるのは、「自律神経」と「コルチゾール(ホルモン)」のうち、どちらが強く出るかというメカニズムの違いによるものです。意志の弱さや性格は関係ありません。
食欲がない日は食べられるものから口にし、逆に食べすぎた翌日は食事を抜かずに緩やかにリズムを戻していく。
そして日々の状態をメモに残すことも、食生活をコントロールする大事な手がかりになります。
体質面からしっかりとアプローチしたい場合は、セルフケアに加えて漢方的な視点をとり入れるのもいいでしょう。
まずは無理のない範囲で日々の生活を見直し、ストレスに振り回されないからだを作っていきましょう!
<この記事の監修者>
山形 ゆかり(やまがたゆかり)あんしん漢方薬剤師
薬剤師・薬膳アドバイザー・フェムケアサポーター。
糖尿病病棟での経験から予防医学と食事の重要性を痛感し独立。
エビデンスを軸に薬膳・発酵・フェムケアの視点でレシピ監修や執筆、講師活動を通じ「食から整える健康」を提唱。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。

