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沢口愛華 「沢口生活」 <第二十一回> ペンライト
おこがましくも私の「推し」を紹介させて
ください。と言いつつも、ご本人様に
ご迷惑がかかるようなことがあると、
私の生きる意味が失くなってしまうので、
ここでは仮名でいかせていただきます。
タコが大好きな子なので、タコちゃんとでも
呼びましょうか。いやこれ、隠すつもり
ないですね。タコちゃんは私の弟と
同い年で、超絶かわいい女の子です。
アイドルグループに所属しています。
先輩にちょっかいをかけたり、同期に
闘志を燃やされたり、後輩に憧れられたり、
忙しい女の子です。タコちゃんを好きに
なった時のことをよく覚えています。
タコちゃんの先輩の卒業コンサートに
私はいた。その先輩をグループにいる
うちに生で観てみたいと思い、初めて
コンサートに参戦した。グループの
メンバーとしての最後のライブを見届け
られたこと、アイドルの集大成はこんなにも
美しいものなんだと、感動していた。
そんな中、私の目にはスローモーションで
映る彼女がいた。一度も手を抜かない、
いつどこを観ても彼女の100%が
私たちに伝わる、そんな子だった。
家に帰るなり、私は持っていたDVDを
漁って、その子を探した。たこちゃんと
いうらしい。どのタコちゃんも真っすぐ
お客さんに届く声で歌い、踊り、かわいい、
美しい、壊れないでほしい、と思った。
そして、私の目は節穴だったのか!?
なぜ、今まで気付けなかった!?と
驚くばかりだった。
ほぼ毎日更新されるアメブロを毎晩
読むことが生活の一部になり、悔しい
ことがあった日や悲しいことがあった日は
特に癒された。ライブも3ヵ月に1回の
ペースで行くようになり、その度に彼女の
成長に驚かされる。この子は止まらない。
ずっと走っている。どこへ向かっているか、
私には分からないが、離れていってる
気はしない。
高音が武器の彼女は難しいパートを
任されることが多い。曲の最後のフェイク
など、見せ場が多く、オタクとしてはすごく
嬉しい。ピンクのペンライトがとても映える
瞬間、心が満たされる。いつも全力な
タコちゃんの歌声は言葉に感情が絡み、
ダイレクトに伝わる。私はそれが好きだ。
それが鬱陶しく聞こえないのは、彼女が
普段から練習を怠らない子だからなんだろう。
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