「前日の疲れがまったくと言っていいほど取れていない」
そんな現代人にありがちな悩み。
しかし、この悩みには明確な原因があり、セルフケアで睡眠の質を改善できることをご存知ですか?
今回は、寝る前のNG習慣から今夜からすぐに試せるメソッドまで、あんしん漢方薬剤師の中田早苗さんに解説いただきます。
寝ても疲れが取れないのは、夜の過ごし方が関係しているかも
ぐっすり寝たはずなのに疲れが残る大きな理由は、日々の生活習慣にあります。
適切な睡眠は、ただ睡眠時間を確保すればいいというわけではありません。
重要なのは、頭とからだがしっかり休まる状態に入れているかどうか。
私たちは日常的に、さまざまなストレスや刺激にさらされています。
帰宅後もスマホを手放せず、本来リラックスできるはずの自宅でも刺激を浴び続けていると、夜になってもリラックスモードへのスイッチがうまく切り替わりません。
このスイッチの正体は「自律神経」です。
自律神経には、活発的な状態にする「交感神経」、リラックス状態に導く「副交感神経」があり、日中は交感神経が、夜間は副交感神経が優位になることで心身のバランスを保っています。
しかし、刺激の多い毎日を送っていると、からだが切り替えのタイミングを見失い、夜になっても興奮状態が続いてしまいます。
その結果、眠りが浅くなったり途中で目が覚めてしまったりして、「寝たのに翌朝疲れている」という状態を引き起こすのです。
つまり、睡眠時間だけでなく、就寝前にいかにリラックスモードに切り替えるかが、睡眠の質の向上や、疲労回復のカギとなります。
寝る前にやりがち。睡眠の質を下げるNG習慣
ここからは、ついやってしまいがちな「睡眠の質を低下させる3つのNG習慣」をご紹介します。
就寝前の激しい運動
「からだを疲れさせれば眠りやすくなる」と考えて、就寝前に激しい運動を行うのは逆効果です。確かに疲労感があればベッドに入りたくなりますが、夜遅くハードな筋トレやランニングを行うと、せっかく休息に向かっていたからだを起こしてしまい、日中のようなアクティブなモードに引き戻されてしまうのです。
運動で心拍数や体温が上がると交感神経が刺激され、脳やからだの興奮状態が冷めず、結果として寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまいます。
寝る前の重い食事
寝る直前に食事を摂ってしまうと、胃腸が消化活動に追われてしまいます。睡眠中も内臓が活発に働き続けることになり、からだが完全に休まらず、睡眠の質そのものが低下してしまいます。
また、横になったときの胃もたれや不快感も眠りを妨げる原因となり、翌朝までスッキリしない状態を引きずることも珍しくありません。
寝酒での寝つき
寝酒は睡眠のリズムを乱し、質を著しく低下させてしまいます。「アルコールを飲むとよく眠れる」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、それは誤解です。
確かに一時的に寝つきはよくなるものの、睡眠の後半で覚醒作用が働き、夜中や明け方に何度も目が覚めやすくなります。
また、トイレが近くなったり、のどが渇いたりして、結果的に深い眠りを妨げてしまいます。
今夜から試せる、深い眠りへの整え方
ここからは、睡眠の質を高めて深い眠りを促すための3つのセルフケアをご紹介します。
ゆるストレッチで、からだの緊張をほどく
激しすぎる運動はNGですが、少しからだを動かす程度ならむしろおすすめです。とくに、心地よいストレッチならからだの緊張をほぐし、入眠をスムーズにしてくれます。
首や肩、背中を中心に1~2分間ほどゆっくりと伸ばしましょう。
以下の方法を試してみてください。
- 首をゆっくりと左右に倒しつつ、深呼吸する
- 首をすくめて、息を吐きながらストンと落とす
- 両手を前に伸ばしながら背中を丸める
さらに「肩甲骨はがし」も効果的です。
- 手で軽く拳を作り、両ひじを曲げる
- わきを開くようにして、ひじを肩より高い位置まで上げる
- 両ひじを後ろに引き、肩甲骨を寄せながら数秒かけて息を吐く
- そのままひじを下げて腕を下ろす
(2)の際に、肩の位置まで上がらない場合は無理をしないでください。
モヤモヤはひと言メモで、頭のなかをリセット
布団の中で余計な考え事をしてしまうときは、頭のなかの思考を書き出すのが効果的です。その日の反省や明日の不安を頭のなかで巡らせるよりも、文字で視覚化しましょう。
長文ではなく、箇条書きのひと言で十分です。
たとえば、
- 明日やること
- 週や月単位で後回しにしていいこと
- なんとなく気になっていること
紙のメモやスマホのアプリに書き出すだけで、気持ちの整理がつき、脳内でモヤモヤを引きずったまま眠りにつくのを防ぐことができます。
暖色ライトに切り替えて、おやすみモードへ
夜の照明は、蛍光灯などの明るい白色光を避け、オレンジ色の暖色系に変えましょう。強い光を浴びると脳が昼間だと錯覚し、覚醒してしまいます。
また、スマホやパソコンのブルーライトも同様に注意が必要です。
睡眠の30分くらい前から部屋の照明を一段階暗くしたり、間接照明のやわらかな灯りに切り替えたりしましょう。
デジタル機器から離れる工夫も大切です。
睡眠の質改善には体質ケアもおすすめ
生活習慣を変えてもなかなか睡眠の質が改善されない場合は、漢方薬をとり入れるのもひとつの選択肢です。
漢方は、体質のバランスを整えることで、不調を根本から改善することを得意とします。
また、漢方薬は一般的に西洋薬に比べて副作用リスクが比較的低いといわれています。
さらに、毎日服用するだけでいいので、生活習慣を大きく変えずに続けやすい点が大きなメリットです。
漢方薬で睡眠の質改善を行う場合、
「自律神経の乱れを整え、ストレスによる不眠を改善する」
「イライラや興奮を鎮めて寝つきをよくする」
「血流をよくして中枢神経の機能を回復する」
といった作用を期待できる生薬を含む漢方薬を使用しましょう。
<睡眠の質改善におすすめの漢方薬>
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
自律神経を整えて精神不安を和らげ、イライラや不眠を解消します。酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心身の疲弊に働きかけ、神経の興奮や緊張を和らげて睡眠の質を高めます。ただし、漢方薬は個人の体質との相性がとても重要です。
自己判断せず、専門家に相談して、自分に合った漢方薬を使用しましょう。
最近では、オンラインで相談できる「あんしん漢方」のような便利なサービスも注目されています。
「あんしん漢方」は、体質診断から漢方薬の提案、アフターフォローまで専門家がサポートしてくれるため、初めての方でも利用しやすい点が特徴です。
すべてネット上で完結するので、忙しい毎日を送る方にもおすすめです。
睡眠の質の底上げのポイントは生活習慣にアリ
しっかり寝ているのに疲れが取れない最大の原因は、自律神経がうまくリラックスモードに切り替わらないまま眠りについていることにあります。まずは就寝前の過ごし方を見直し、からだの緊張をほどくことから始めてみましょう。
忙しい毎日のなかで、完璧なナイトルーティンを実践することはなかなか難しい……という方でも、最初からすべてを変えようとせず、「寝る前のスマホをいつもより少し早くやめてみる」「1分間だけストレッチする」といった小さな工夫から試してみてください。
もし、セルフケアだけで解消しない場合は、ひとりで抱え込まずに専門家のサポートに頼るのも賢い選択です。
睡眠の質を高めることは、日中のパフォーマンスを上げ、毎日を健やかに過ごすための土台となります。
まずはご自身のからだの声に耳を傾けながら、今より少しでも睡眠の質を高めるための生活習慣を目指してください。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。
病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。
症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

