少し疲れていても、どこか調子が悪くても、「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせながら過ごしてしまうことがあります。
仕事や日々の予定に追われるなかで、自分の心身に目を向ける時間は、つい後回しになりがちです。
東洋医学には、健康と病気の間にある状態を「未病」と捉える考え方があります。
病気になってから対処するだけでなく、日頃から自分の心身の変化に目を向けることも大切です。
そんな日常のなかで、サウナはどのような存在になれるのでしょうか。
汗をかいて「ととのう」だけではなく、自分自身をいたわる時間として温浴を捉える。
そこには、サウナの新しい楽しみ方があるのかもしれません。
今回、その可能性を考える舞台となるのが、日本有数の温泉地として知られる大分県別府市です。
温浴プロデューサーの笹野美紀恵さんは、SEKIYA RESORTが展開する「ROCK & STEAM」で、新たに3室のプライベートサウナのプロデュースを手がけています。
別府の温泉を使った足湯をサウナ室に取り入れ、蒸気に包まれながら、足元では湯に触れる。
古くから湯治文化が根付くこの土地で、温泉とサウナをともに楽しむ空間づくりが進んでいます。
1. 湯治の街・別府「ROCK & STEAM」で始動する、笹野美紀恵の新たな挑戦
別府の温泉を使った足湯を、サウナ室の中に取り入れる。
温浴プロデューサーの笹野美紀恵さんは、「ROCK & STEAM」で、温泉に足を浸しながらサウナを楽しめる空間づくりに取り組んでいます。
この地で進められている「ROCK & STEAM」のプロジェクトに、温浴プロデューサーの笹野美紀恵さんが携わっています。
今回、笹野さんがプロデュースするのは、3室のプライベートサウナ。
プロジェクトの進行にあたり、実際に別府の建設現場も訪れました。
舞台となる大分県別府市は、豊かな温泉資源と、古くから受け継がれてきた湯治文化で知られる土地です。
その土地の湯をサウナにも取り入れることが、今回の試みの特徴です。
周囲の利用者を気にせず、自分たちのペースで過ごせるプライベートな空間。
そこで温泉に足を浸しながら、サウナを楽しむ。温泉とサウナ、それぞれの楽しみをひとつの空間で重ねる発想です。
2. 汗をかく場所から、肌と湯の関わりを考える場所へ。「経皮吸収」から広がるサウナの視点
サウナというと、汗をかくことや、呼吸を整えることに意識が向きがちです。
笹野さんは、そこに肌と温泉との関わりという視点も重ねています。
その背景にあるのが、「経皮吸収」への関心です。
皮膚には外部の物質から身体を守るバリア機能がある一方、物質によっては皮膚を通って吸収されるものもあります。
その経路には、角質層を通るものや、毛穴・汗腺などを通るものがあり、通りやすさは物質の性質や皮膚の状態によって異なります。
今回の「ROCK & STEAM」では、別府の温泉を使った足湯をサウナ室に取り入れています。
サウナで汗をかきながら、足元では温泉に浸かる。
肌が温泉の成分に触れる時間を、サウナの中にもつくる試みです。
笹野さんが目を向けているのは、呼吸と肌の両方から温浴空間を考えること。
空気や香りとともに、肌が触れる湯も、空間をつくる大切な要素として捉えています。
もちろん、温泉の成分がどの程度肌を通して体内に届くのか、今回の組み合わせで確かめられているわけではありません。
それでも、呼吸と肌の両方に目を向けることは、「ととのう」という言葉だけでは言い表せない温浴体験につながっていくのではないでしょうか。
汗をかくための場所に、その土地の湯に浸かる時間を重ねる。
今回の空間づくりからは、別府の温泉文化を生かしながら、温浴と身体の関わりを掘り下げ、健やかに過ごすために何ができるのかを探る姿勢が見えてきます。
これまで温浴施設のプロデュースに携わってきた笹野さんにとっても、歴史ある温泉地・別府でのサウナづくりは、新たな取り組みとなります。
温泉文化が息づくこの土地で、どのようなサウナ空間が生まれるのか。今後の展開に期待が寄せられます。
3. 「ととのう」の先へ。忙しい日常に自分をいたわる“余白”をつくる
サウナの楽しみ方として広く知られるようになった「ととのう」という言葉。一方で、サウナの魅力は、汗をかくことや爽快感を得ることだけではありません。
温浴プロデューサーとして活動する笹野さんの取り組みからは、サウナを心身と向き合う時間として捉える視点も見えてきます。
忙しい日々を過ごしていると、休むことさえ後回しにしてしまいがちです。
しかし、自分をいたわるために、必ずしも大きな不調を待つ必要はありません。
その日の体調に目を向け、無理のない過ごし方を選ぶこと。
何かを頑張る時間だけでなく、ゆっくり休む時間も大切にすること。
サウナもまた、そうした時間を過ごすための選択肢のひとつです。
足元に触れる湯の温かさや、肌を包む空気に、ふと意識を向ける。
普段は気に留めずにいる感覚を確かめることも、自分自身に目を向ける小さなきっかけになるかもしれません。
「ととのう」という体験だけを目的にするのではなく、自分の心身をいたわるために温浴を楽しむ。
不調になる前に、自分をいたわるという選択。
そんな視点からサウナを捉えることも、これからの温浴の楽しみ方を広げてくれるのではないでしょうか。
4. 伝統の「湯治」と現代の「ウェルネス」が交差する場所
日本には古くから、温泉地に滞在し、病気やけがの療養、心身の休養を図る「湯治」という文化があります。温泉は観光や娯楽として楽しむだけでなく、身体を休めるために訪れる場所でもありました。
一方、現代では、心身の健康を日常的に大切にする「ウェルネス」という考え方も広がっています。
湯治とウェルネスは、成り立ちも意味も同じではありません。
それでも、日頃から自分の心身の状態に目を向け、休養を大切にするという点には、通じるものがあります。
温泉地に長く滞在することが難しくても、日常から少し離れ、温浴を楽しむ時間を持つことはできます。
温泉に浸かり、その土地の食を味わい、自然やアートに触れる。
別府には、温泉だけでなく、旅先での時間をさまざまな形で楽しめる魅力があります。
長く受け継がれてきた湯治文化が息づく別府に、新たなサウナ体験が加わること。
それは、温泉やサウナを楽しむきっかけを増やし、この土地の温浴文化に触れる機会を広げることにもつながりそうです。
5. おわりに:別府から広がる、新たな温浴カルチャーの芽吹き
古くから温泉文化が根付く別府で、笹野美紀恵さんが手がける3室のプライベートサウナ。今回の「ROCK & STEAM」でのプロデュースは、笹野さんにとって新たな挑戦のひとつです。
別府の湯を、サウナづくりの一部として生かす。
その発想には、土地の文化を受け継ぎながら、新しい温浴のかたちを探る姿勢が表れています。
汗をかいて「ととのう」だけではなく、自分の心身に目を向ける時間としてサウナを楽しむ。
そんな温浴との付き合い方を考えるきっかけにもなるでしょう。
別府という土地で、笹野さんがどのようなサウナ空間を形にしていくのか。
今後の展開に注目です。
PROFILE & SUPERVISOR
株式会社ONEBLOW 代表取締役
「サウナの聖地」と称される静岡県の温浴施設「サウナしきじ」に生まれる。モデル、ミス・インターナショナル・ファイナリストとしての活動を経て、家業のブランディングに従事。ソフト面の戦略的改善とメディアリレーションにより、地方施設から全国的な知名度を持つブランドへの変革を牽引した。
MBA取得後、現在は温浴施設を軸としたトータルプロデューサーとして活動。宿泊施設や医療機関におけるサウナ・ウェルネス空間の企画・開発から、飲食、商品開発、WEBコンテンツ、PRまでをワンストップで手掛ける。また、海外ブランドの日本市場参入におけるローカライズ戦略やコンサルティングなど、国内外のネットワークを活かした多角的な事業展開を行っている。
主な活動・実績
学位: 経営学修士(MBA)取得
経歴: モデル / ミス・インターナショナル・ファイナリスト
現職: 株式会社ONEBLOW 代表取締役 / 温浴施設トータルプロデューサー
TV: 静岡朝日テレビ『サ活のサ』出演中
連載: 全日空(ANA)機内誌『翼の王国』
連載: 小学館『美的.com』「美容サウナ」
連載: 美容・ウェルネスメディア『CINDERELLA FIT』コラム寄稿
