たしかに、夜遅い食事は体脂肪として蓄積されやすいといわれています。
一方、強い空腹は寝つきを妨げることも。
大切なのは夜食を我慢することではなく、量や内容に気をつけて上手に取り入れることです。
夜の空腹と睡眠の関係とともに、太りにくさを意識した夜食選びのコツについて、あんしん漢方薬剤師の山形ゆかりさんに解説いただきます。
夜食を我慢すれば正解?空腹と眠りの意外な関係
「夜食は太るから、どんなにおなかがすいても我慢したほうがいい」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、強い空腹を抱えたまま布団に入ると、かえって眠りにくくなることがあります。
夕食から就寝までの時間が長くなって血糖値が徐々に低下すると、からだはエネルギー不足に対応するため、アドレナリンやコルチゾールなどを分泌します。
これらは交感神経を刺激してからだを覚醒させる方向に働くため、「おなかがすいて眠れない」「眠いのに目が冴える」といった状態につながる可能性があるのです。
さらに、「食べたいけれど太りたくないから我慢しなければ」と考え続けること自体が、心身をリラックスしにくくすることも。
ストレスによってコルチゾールの分泌が増えると、夜になってもからだが興奮状態になり、寝つきの悪さにつながる場合があります。
なお、睡眠不足は翌日の食欲にも影響します。
寝不足になると、満腹感に関わる「レプチン」が減り、食欲を高める「グレリン」が増えるとされており、いつもよりおなかがすきやすくなったり、甘いものや脂っこいものが欲しくなりやすくなったりすることもあるのです。
そのため、「夜食を我慢する→眠れない→翌日に食欲が増す」という悪循環につながる可能性もあります。
もちろん、夜遅くに好きなものを好きなだけ食べていいわけではありません。
大切なのは「食べないこと」だけにこだわるのではなく、空腹の程度に合わせて量や内容を調整すること。
どうしてもおなかがすいて眠れない日は、からだへの負担が少ない軽めの夜食を摂るように工夫してみましょう。
食べるなら何を選ぶ?夜食選びの3つのコツ
夜食を摂るなら、何をどれくらい食べるかがポイントです。
おなかいっぱいになるまで食べるのではなく、空腹を落ち着かせることを目的に、エネルギーや脂質、糖質などを意識して選んでみましょう。
“もう1食”にならない量を意識
夜食を摂るときにまず意識したいのが、「もう1食食べる」のではなく、空腹を落ち着かせる程度の量にすることです。たとえば、夕食を食べたあとにラーメンや丼ものなどをしっかり食べてしまうと、その分だけ1日の摂取エネルギーが増えてしまいます。
夜食は、おなかいっぱいになるまで食べるのではなく、「空腹が少し落ち着いた」と感じられる程度を目安に摂りましょう。
手のひらにのるくらいの軽い量にとどめておくのもひとつの方法です。
食べすぎれば胃腸への負担も大きくなり、寝る時間になっても消化活動が続いてしまいます。
「満腹にする」のではなく、「空腹を和らげる」くらいの感覚で取り入れるのがポイントです。
高タンパク・低脂質な軽食
少ない量でも満足感を得たいときは、高タンパク質で低脂質な食品を取り入れてみましょう。タンパク質を含む食品は比較的腹持ちがよく、少量でも空腹感を落ち着かせやすいのが特徴です。
また、満足感が続きやすいため、夜中にまた何か食べたくなるのを防ぐのにも役立ちます。
ただし、タンパク質を含んでいれば何でもいいわけではありません。
揚げ物や脂身の多い肉などは脂質やエネルギーも多くなりやすく、消化にも時間がかかります。
寝る直前に食べると胃腸に負担がかかりやすいため、夜遅い時間にはできるだけ軽めのものを選びましょう。
夜食として取り入れやすいのは、無糖ヨーグルトや豆腐、ゆで卵などです。
調理の手間が少なく、量も調整しやすいので、「少しだけ食べたい」というときにもぴったり。
高タンパク・低脂質を意識すれば、余分なエネルギーを抑えながら、空腹をほどよく満たしやすくなります。
血糖値が上がりにくいものを選ぶ
夜食を選ぶときは、血糖値が急に上がりにくいものを意識するのもポイントです。お菓子や菓子パン、甘い飲み物などは手軽ですが、血糖値が上がりやすいものも少なくありません。
血糖値が大きく上下すると、下がるタイミングでまたおなかがすきやすくなることもあります。
さらに、こうした大きな血糖変動は血管への負担にもつながり、肥満や過食を高める可能性もあります。
そんなときに取り入れやすいのが、ナッツやチーズです。
無塩のナッツは食物繊維が豊富で、噛む回数も自然と増えるため、少量でも満足感を得やすいのがメリット。
夜に「ちょっとだけ食べたい」というときにも向いています。
ただし、エネルギー量は高めなので、食べすぎには注意しましょう。
チーズも、手軽に食べられる夜食のひとつです。チーズに含まれるトリプトファンは、睡眠に関わるセロトニンの材料になります。
また、カルシウムも含まれているため、夜のリラックスタイムにも取り入れやすい食品です。
甘いものを一気に食べて空腹を満たすより、ナッツやチーズのように少量でも満足しやすいものを選ぶようにしましょう。
食事を見直しても気になるなら、漢方薬という選択肢
夜食の量や内容を工夫しても、体型の維持が難しい、食欲が抑えられないなどの悩みがある場合は、漢方薬を取り入れるのもひとつの方法です。
漢方では、胃腸の働きや代謝、自律神経など、からだ全体のバランスを整えることを大切にします。
そのため、食欲の乱れや生活リズムを体質から見直したい人にも取り入れやすいでしょう。
夜の食べすぎが気になる場合は、次のような働きをもつ漢方薬を選びます。
- 脂質代謝を促して、余分な脂肪に働きかける
- 胃腸の働きを整えて、食生活の乱れを改善する
- 自律神経を整えて、ストレスによる過食を防ぐ
<おすすめの漢方薬>
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
食欲があり、便秘がちでおなか周りに脂肪がつきやすい人に用いられます。老廃物の排泄を促し、脂質代謝機能を改善して肥満症の改善をサポートします 。
大柴胡湯(だいさいことう)
ストレスで食欲が増して脇腹が張る人に。気分や食欲を落ち着かせるのに効果的です。また、体内の余分な熱を取り除いて代謝バランスを整え、脂肪燃焼をサポートして肥満を改善します。
漢方薬を取り入れるなら、「何を飲むか」だけでなく「自分の体質に合っているか」にも目を向けてみましょう。
同じ食欲の悩みでも、背景にある体質や不調は人それぞれです。
そんなときに頼りになるのが、オンラインで専門家に漢方薬の相談ができるサービスです。
「あんしん漢方」では、スマホから相談を受け付けており、漢方薬に精通したプロの薬剤師がAIも活用しながら、相談者に合った漢方薬を提案しています。
「自分に合っているのかな」と不安を抱えながら自己判断で漢方薬を使用するよりも、プロに相談しながら選ぶほうが安心です。
自分の体質に合った漢方薬を無理なく取り入れていきましょう。
食べ方を工夫して、夜の空腹を乗り切ろう
夜食は、我慢することよりも量や内容を工夫して上手に付き合うことが大切です。空腹を感じたときは、少量で満足しやすい食品を選びましょう。
食欲や体型の悩みが続く場合は、生活習慣を見直しつつ、漢方薬を取り入れるのもひとつの方法です。
<この記事の監修者>
山形 ゆかり(やまがたゆかり)あんしん漢方薬剤師
薬剤師・薬膳アドバイザー・フェムケアサポーター。
糖尿病病棟での経験から予防医学と食事の重要性を痛感し独立。
エビデンスを軸に薬膳・発酵・フェムケアの視点でレシピ監修や執筆、講師活動を通じ「食から整える健康」を提唱。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。

